介護タクシー・民間救急 | 2024.07.23
要支援者は介護タクシーが利用できない!?代わりの方法を解説します
介護が必要な方にとって、介護タクシーは便利な移動手段の一つですが、要支援者の方には利用できないことをご存知でしょうか?
本記事では、要支援の概要、介護タクシーの利用条件や料金、そして要支援の方でも利用できる福祉タクシーについて解説します。
さらに、福祉タクシーを利用する際の注意点もお伝えします。
そもそも要支援とはどのような状態なのか
要支援者は、日常生活の一部分において軽度の支援や援助が必要な状態です。
例えば、食事の準備、入浴の補助、買い物、移動のサポートなどが含まれます。
全ての日常生活動作に対しては完全に自立できないことがあります。
しかし、全面的な介護が必要なほど重度な状態ではないため、一定の自立能力が残っていることが一般的です。
要支援状態は、要介護状態と比較して比較的軽度な支援が必要な状態であり、自立した生活が困難な一方で、完全な介護が必要な段階ではありません。
この状態の人々に対して、適切なサポートが提供され、自立した生活を続けるための支援が行われます。
介護タクシーは要支援の人では利用できない
結論からいうと、要支援の方は介護タクシーの利用ができません。
理由は前述した要支援の状態像から説明できます。
要支援とは、身の回りのことについてひとりで行うには少々難しい場合があるものの、おおむね自立して行える状態です。
よって、介護タクシーの必要性はあまり高くないといえます。
一方で介護タクシーが使える要介護状態の方は、身の回りのことをご自身で行えない方が多く、外出を伴う移動には多くの困難をきたします。
持病や障害があるにもかかわらず通院が難しいため、介護タクシーを利用する必要があるのです。
介護タクシーとは
では、要支援状態の方が利用できない介護タクシーとは、どのようなサービスなのでしょうか?
介護タクシーは、高齢者や介護が必要な人々のために提供される特別な移動手段です。このサービスは通常のタクシーとは異なり、要介護者の移動を支援することを目的としています。
以下でサービス内容や利用条件等について解説します。
サービス内容
介護タクシーは、要介護者の安全かつ快適な移動をサポートします。サービスには以下が含まれます。
- 車両内での車椅子の固定
- 介助が必要な乗降のサポート
- 医療機器の搭載(必要な場合)
持病や障害によって介助が必要な方が安心して目的地まで移動できるため、これらのサービスが提供されます。
介護タクシーの利用条件と利用手順
介護タクシーを利用するためには要介護者であることが条件となります。
では、利用手順をあわせてみていきましょう。
- 要介護認定を受け、要介護1~5の認定を受ける
- 担当のケアマネジャーが作成するケアプランにおいて訪問介護サービスを位置づけてもらう
- 作成したケアプランに基づいて訪問介護事業所が提供する「通院等乗降介助」のサービスを受ける
上記の手順で介護タクシーを利用しますが、注意点があります。
介護タクシーには厳密に「介護保険適用タクシー(介護保険タクシー)」と「介護保険適用外タクシー(福祉タクシー)」の2種類があるのです。
要介護者が介護保険の適用を受けて利用できるのは、介護保険適用タクシーのことです。
一方、要支援の方が介護タクシーを利用したい場合は、後者である介護保険適用外タクシーを利用しましょう。詳細は後述します。
介護タクシーの料金
介護タクシーの利用料金は以下のように決まります。表を参考にしてください。
項目 | 内容 |
運賃 | 国土交通省地方運輸局に申請して認可を受けた法令で定められた料金時間や距離に応じて変動する料金で、交通状況などによっても変動することがある(介護保険は適用とならない) |
介助料 | 通院にかかる車の乗り降りなどにかかる料金介護タクシーを利用する際にかかる介助の料金(介護保険の適用となる)1割負担の場合片道につき100円程度の負担 |
介護機器のレンタル料金 | 車いすやストレッチャーなど、必要な介護機器のレンタル料金(介護保険は適用とならない)設定料金はタクシー会社によって異なるため、事前の確認が重要車いすで500円程度(無料の場合もあり)ストレッチャーで2,000~4,000円程度 |
要支援の人でも利用できる福祉タクシーとは
要支援の人では介護タクシーが利用できないことをお伝えしました。
では、介護タクシー以外の福祉タクシーとはどのようなものなのでしょうか。
以下で解説していきます。
サービス内容
福祉タクシーのサービス内容は、介護保険適用タクシーのように通院に使うことも可能です。
一方で自由度が高く、旅行や買い物、冠婚葬祭などの移動手段としても利用できます。
しかし、身体に障害がある方や高齢者を対象としていることが多いため、車両には車いすやストレッチャーのまま乗り込めるようになっています。
福祉タクシーの利用条件と利用手順
福祉タクシーのサービスを提供しているタクシー会社によって異なりますが、身体障碍者手帳を有する方や、要支援1,2の方や要介護1~5の方が利用できます。
福祉タクシーを利用する際は、タクシー会社への予約が必要です。
- 利用目的(旅行、買い物など)
- 行き先
- どのようなサポートが必要か
などについてタクシー会社に伝えるようにしましょう。
福祉タクシーの料金
福祉タクシーの料金は介護タクシーと同様の項目で成り立っていますが、介護保険の適用がない分高額になります。
参考までに以下の表を見てみましょう。
項目 | 内容 |
運賃 | 普通車のタクシーメーターと同様の体系をとっていることが多い時間制料金では、30分ごとに1,000円など深夜料金がかかる場合もあり |
介護機器のレンタル料金 | 車いすやストレッチャーなど、介護タクシーの場合と同様必要に応じて担架、AED、酸素ボンベ、痰の吸引機なども利用可能 |
介助料 | 利用者に必要な介助に応じて金額が決まる乗降介助、室内介助、外出先での付き添いなど |
その他 | 早朝予約待機料金深夜の介助料金など |
福祉タクシーを利用する際の注意点
福祉タクシーを利用する際の注意点を以下で解説します。
地域やタクシー会社によって料金が異なる
福祉タクシーの料金は、地域やタクシー会社によって異なります。
同じサービスを提供していても、料金体系や基本料金、距離や時間に応じた追加料金などが会社によって異なります。
以下のポイントを押さえておきましょう。
- 事前確認: 利用するタクシー会社や地域において料金を事前に確認する
- 割引制度の有無を確認:一部の地域やタクシー会社では、利用者の割引制度が提供されているため、受けられるか確認する
全額自己負担になる
介護保険が適用とはならないため、全額が自己負担となります。
前述した割引制度がありますが、利用方法や内容によっては高額になります。
総額でいくらくらいになるのかも事前に確認しておくとよいでしょう。
ドライバーによっては介助ができない場合がある
福祉タクシーのドライバーによっては、介助ができない場合があることに留意する必要があります。
具体的には以下の点です。
- 介助の有無
- 同乗者の検討
まずドライバーは車椅子や荷物の積み込みはできても、乗降の介助ができない場合があります。
これは、ドライバーの保有資格が普通自動車二種免許のみの場合です。
介護職員初任者研修を受講しているドライバーなら、介助は可能です。
すべての運転手が介助可能とは限らないため、利用者が特別な介助を必要とする場合、事前にタクシー会社に確認しましょう。
もし運転手が介助できない場合は、同乗者の協力が必要な場合があります。介助ができない運転手の場合、同乗者のサポートも検討しておきましょう。
まとめ
要支援の方は介護タクシーを利用できません。
そのため、別の手段として福祉タクシーの利用が推奨されます。
介護タクシーと比較し利用条件や料金に違いがありますが、買い物や旅行などにも利用できるため、自由度は高いといえるでしょう。
ご自身の状態に応じて適切な選択をすることが大切です。
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