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介護タクシー・民間救急 | 2024.07.20

介護タクシーと福祉タクシーの違いとは?介護職の新たなキャリアを解説

介護福祉士の皆さんにとって、介護タクシーと福祉タクシーは、介護の現場から離れて新たなキャリアを模索する際に注目すべき職業のひとつです。

この記事では、介護タクシーと福祉タクシーの違いを詳しく解説し、それぞれの特徴をお伝えします。

これからタクシー業界でのキャリアを考える介護福祉士や、介護の経験を生かしながら新たな道を模索する方にとって、役立つ記事となるでしょう。

介護タクシーと福祉タクシーの違い

それぞれの違いを各項目ごとに解説していきます。

対象者

【介護タクシー】

介護タクシーの対象者は、要介護1~5の方のみです。

介護保険が適用となる場合「通院等乗降介助」という訪問介護のサービスに該当するからです。

要支援1,2の方は利用できない点も押さえておきましょう。

利用する方は、心身に障害がある方や高齢者など、介護が必要な方たちです。

【福祉タクシー】

福祉タクシーは、要介護状態であることが条件とはなりません。

ただし、自力での移動や外出が困難な方が対象です。

車両には車椅子やストレッチャーで入れる設備や、医療的なケアが必要な方への機器が備わっていることもあるため、健常な方は利用できません。

また、福祉タクシーは通常のタクシーのように道で拾って乗る使い方ができません。

一般的にはご自身で外出できない、公共の交通機関を利用できないといった方の利用が想定されます。

利用目的

【介護タクシー】

介護タクシーを介護保険適用で利用する場合、通院を例にすると以下が想定されます。

  • 通院の準備(着替えの介助、持ち物の用意、車への乗車介助)
  • 自宅から病院までの運転
  • 通院先での受診手続き(受付、会計、薬の受け取りなど)

なお介護保険適用外で利用する場合は、以下の福祉タクシーと同じように利用可能です。

【福祉タクシー】

福祉タクシーは、以下のような利用目的が想定されます。

  • 買い物や外出の支援
  • レジャーや旅行
  • 必要に応じて車内での身体介護

車両

【介護タクシー】

介護タクシーでは福祉車両を導入している事業所が多くあります。

要介護状態の方が利用することを想定しているため、車椅子やストレッチャーでも入れるタイプの車両が多く使用されています。

特にワンボックスタイプやワゴンタイプがよいでしょう。

立つ、歩くなどが難しい方でも車両後方のリフトを使用して安全に乗降が可能です。

一般乗用車でも問題はありませんが、要介護状態の方が乗降しやすい車両である方が負担が少ないと考えられます。

【福祉タクシー】

一方、福祉タクシーは会社によってさまざまです。

サービス内容や利用者によって取りそろえている車両が異なります。

必要な資格

【介護タクシー】

介護タクシーに必要な資格は、普通自動車二種免許と介護職員初任者研修です。

まず自動車免許については運転するため当然必要なのはおわかりでしょう。

介護職員初任者研修の資格については、介護保険の通院等乗降介助において介助をする際、必須の資格となっています。

介護職員初任者研修を修了していないと利用者の介助をしてはなりません。

【福祉タクシー】

福祉タクシーにおいては、「運転業務のみ」であれば、普通自動車二種免許のみで十分です。

ただし利用者の乗降介助や、自宅内での準備にかかる着替えや移動の介助は行えません。

会社によって提供するサービス内容が異なるため、就職後に必要な資格の取得を求められることも想定されます。

介護タクシーも福祉タクシーも、利用者の安全を考慮すると介護福祉士の取得をおすすめします。

料金体系

【介護タクシー】

介護保険適用のタクシーの場合、料金の仕組みは以下のとおりです。

  • タクシーの運賃
  • 介助にかかる料金
  • 介護機器のレンタル料金

介護タクシーの料金は、一般的なタクシーと比べてやや高めです。

介護サポートや特別な設備を提供するため、その分の費用がかかります。

ただし、介護保険が適用される場合もあり、一部費用がカバーされることがあります。

上記のうち介助にかかる料金が「通院等乗降介助」にあたり、介護保険の適用です。

負担割合が1割の方で、片道約100円です。

利用者により1~3割と異なります。

一方タクシーの運賃と介護機器のレンタル料金は介護保険の適用となりません。

運賃は一般のタクシーと同程度、介護機器のレンタル費用は以下が目安となります。

  • 車椅子:無料~1,000円程度
  • リクライニング車椅子:1,500~2,000円程度
  • ストレッチャー:5,000円程度

【福祉タクシー】

一般的なタクシーと変わりません。

通常のタクシーと同じく、距離や時間に応じて料金が計算されます。

ただし介護を必要とする場合は、別途料金がかかることもあります。

福祉タクシーの料金は、タクシー会社が提供するサービスに応じて料金に幅がありますが、介護保険タクシーと料金の仕組みはほとんど変わりません。

一番の違いは、介助にかかる料金の部分に介護保険がつかえず、すべて自費になる点です。

通院時の介助にかかる料金の目安は以下を参考にしてください。

  • 基本介助(乗り降りの介助):500~1,500円程度
  • 自宅内での介助(起床の介助、着替え、外出準備など):1,000円程度
  • 外出先での付き添い:1,000円程度

家族同乗の可否

【介護タクシー】

通院等乗降介助が適用される場合は家族同乗ができません。

介護保険が適用となるのは、家族などの同乗者による介助が不可能な場合を想定しているからです。

【福祉タクシー】

福祉タクシーは同乗者の可否が特に定められていません。

  • 車内で特別の家族の手が必要である
  • 心配なので友人にも同乗してもらいたい

上記のようなケースでも問題なく同乗可能です。

利用者から予約が入る際には、同乗者の存在を確認しておきましょう。

メリットとデメリット

【介護タクシーのメリット】

初任者研修の資格をもっていれば介護保険タクシーの現場で働けます。介護の専門知識を活かせるため、より質の高い仕事ができるでしょう。

【介護タクシーのデメリット】

上記の初任者研修を取得していないと働くことができません。資格を取得する手間が発生してしまうため、介護保険タクシーへの就職を考えるならば、まず初任者研修を受講しましょう。

【福祉タクシーのメリット】

普通自動車第二種運転免許さえあれば、すぐにドライバー業務に就けます。

一般のタクシー会社でのドライバーを経験したことがある方なら、即戦力となれるでしょう。

【福祉タクシーのデメリット】

普通自動車第二種免許だけでは、利用者の直接的な介助は行えません。

ドライバー業務以外に介護の経験をしたい場合は、初任者研修の資格を取得する必要があります。

まとめ

介護タクシーと福祉タクシーは、高齢者や障害者向けの輸送サービスとして提供されていますが、それぞれ異なる特徴を持っています。

介護の専門知識や経験を活かしたい場合には介護タクシーが適しています。

一方、特別な資格が不要で、誰でも利用可能な福祉タクシーは、安全な外出を支援する手段として利用価値があります。

自身のキャリアやライフスタイルに合わせて、適切な選択を行うことが大切です。

国家資格である介護福祉士をすでに取得していれば、介護タクシー、福祉タクシーいずれの会社においても専門性を大いに発揮できるでしょう。

施設や病院以外で専門性を発揮したいと考えている介護福祉士の方は、タクシー業界への就職も選択肢のひとつとしてみてください。