インタビュー | 2024.06.19
【社長インタビューシリーズ:船戸敬太】職員採用に重視していることや大切にしている価値観

2020年に創業した介護タクシー「go out taxi」。愛知県春日井市の社会福祉法人で介護士、生活相談員、ケアマネジャーと介護・福祉の経験を積んだ介護福祉士が代表を務める介護タクシー会社です。
本記事では、代表の船戸氏が職員採用において重視していることや、大切にしている価値観を紹介します。
◆船戸敬太(ふなと・けいた)プロフィール
2010年日本福祉大学卒業。2010年~2016年社会福祉法人愛知県同胞援護会特別養護老人ホーム春緑苑にて特別養護老人ホームの現場職員、主任介護士として勤務。
2017年~2019年単独ショートステイの専任生活相談員として勤務。数多くの緊急対応、虐待、困難事例に取り組む。
2019年~2020年デイサービスの生活相談員、ケアマネジャーとして勤務。
2020年介護タクシー「go out taxi」を創業。
専門分野×二種免許でライフインフラを目指す
職員の採用にあたってどのようなスキル・経験を重視していますか?
ベストな人材は「福祉の業界で働いた経験があって、かつ普通自動車二種免許を持っている人」です。
福祉の資格はなくても介護タクシーの実務はできますが、専門分野×二種免許は譲れません。
しかしそのような経歴の人はほとんどいないので、まずは医療や福祉の資格を持っていることが最重要だと考えています。
うちの社員にはまず就職してもらい、あとから二種免許を取得する形をとってもらっています。
専門分野×二種免許を重視するのには理由があって、福祉・介護・医療などの分野に対して、思いのある人を採用したいと考えているからです。
これらの業界は人材が不足しているので、施設や病院から引く手あまたです。
でもそんな中で、あえて介護タクシーの分野を選んでくれる人って、自分たちの専門性に対して何かしらの強い思いをもっていると感じています。
私たちが目指すのは、介護タクシー事業がライフインフラになっていくことです。
介護タクシーなので運転の技術も大切なのですが、それよりも専門分野の知識・知見を活かすことを重視しています。
街になくてはならない存在になって働いてくれる人を採用したいと考えています。
そして一緒に街を作り、街を守っていきたいです。
どんな職種の人が働いていますか?
私自身は介護福祉士やケアマネジャーを持っていて、施設やデイサービスで生活相談員の経験もあります。
他の職員では、理学療法士、看護師、介護福祉士、社会福祉士がいます。
あとは元救急隊員だった人もいます。
施設や病院では限界を感じることがあった
介護タクシーは各職種の専門としている仕事と異なる分野ですが、職員のみなさんがあえてタクシー事業を選んだ理由は何でしょうか?
介護タクシーには、利用者さんの願いを叶えられる力があると思ってくれたからです。
みなかつては、それぞれの職場で専門職種としてできることへの限界や閉塞感を感じていました。
福祉の現場で働いていると、利用者さんの「生まれ故郷に一度でいいから帰りたい」「遠方の友人に会いに行きたい」「結婚式に参列したい」「美味しいものを食べに出かけたい」といった願いを聞くことが度々あります。
リハビリを終えて自宅退院しても、その後の生活はどうなっているのだろう?病院の外でどんなリハビリをするのか?何をモチベーションにしてくのだろうか?など疑問をもつ人もいました。
「自分たちは本当に利用者さんの願いを叶える働きができているのだろうか?」
うちの社員たちは、みなそのように葛藤した過去があります。
誰もが当然のように想い、叶っていたことが、加齢や障がいがあることで誰かの支援がなければできなくなる現状を目の当たりにしてきました。
しかし、逆に言えば「誰か」の支援さえあれば、その願いはあきらめなくて良いのです。
人は、心を動かすことで体が動きます。タクシー事業でいえば、外出や旅行を通して利用者さんの心が動き、そして体が動くようになります。
「利用者さんの願いは介護タクシーなら叶う」
そう思ってくれた人たちが、今一緒に働いています。
安心・安全の先に楽しいことが待っている
新しいメンバーを迎えるにあたり一番大切にしている価値観を教えてください
当社のビジョンに共感することです。もちろん私自身が自社の理念にもっとも強く共感していなければなりません。
我々のビジョンは「LIFE on fk.spice(ライフオンエフケースパイス)」です。
「私たちは生活の根幹となる安心、安全を常に提供し、時に生活の意欲や糧ともなるライフインフラとなります。困った時も苦しい時も楽しい時も生活の傍にfk.spice」
この理念を一番大切にしています。
タクシー事業が外出や旅行に役立っている部分はキャッチーではありますが、利用者さんが楽しむためには、生活の根幹となる「安心や安全」があってこそだと思っています。
安心安全を常に提供することは、かんたんなことではない。でもそれを提供できさえすれば、きっと楽しい事が待っています。
そんなビジョンに共感できる人にぜひ来てほしいと思っています。
介護タクシーで働きたいと思っている人に向けてメッセージをお願いします
福祉・介護・医療の専門職が一般的に勤めている施設や病院の仕事を本流とすれば、介護タクシーはニッチな事業です。
「介護タクシーはなんとなく知ってはいるけど、仕事の選択肢には入りにくい業界」だと思っています。
だからこそ、この業界の魅力や眠っているパワーに気づいていない人が多いのかもしれません。本流ではないところにも力が必要で、そこに力が集まれば強い社会貢献性を生むと思っています。
私たちも二年やってみて、手前みそではありますが、社会に貢献できた実感をもてていますし、まだまだ未知の力を秘めていることがわかりました。民間救急で移送に関わることで救急車の適切な利用にもつながりました。
安心、安全に街で暮らすためにできることをやっていくと、自分たちは今社会貢献性の高いところで働いているんだなという実感をもてるでしょう。
施設の中で働いているよりも、きっと強く実感できるはずです。
介護タクシーはすごく素敵な事業です!