インタビュー | 2024.06.23
【社長インタビューシリーズ:船戸敬太】go out taxiの業務内容や一日のスケジュールを紹介します
2020年に創業した介護タクシー「go out taxi」。愛知県春日井市の社会福祉法人で介護士、生活相談員、ケアマネジャーと介護・福祉の経験を積んだ介護福祉士が代表を務める介護タクシー会社です。
今回は、go out taxiの業務内容や一日のスケジュールを紹介します。試行錯誤しながらスケジュール管理をされている様子が大変印象的でした。
◆船戸敬太(ふなと・けいた)プロフィール
2010年日本福祉大学卒業。2010年~2016年社会福祉法人愛知県同胞援護会特別養護老人ホーム春緑苑にて特別養護老人ホームの現場職員、主任介護士として勤務。
2017年~2019年単独ショートステイの専任生活相談員として勤務。数多くの緊急対応、虐待、困難事例に取り組む。
2019年~2020年デイサービスの生活相談員、ケアマネジャーとして勤務。
2020年介護タクシー「go out taxi」を創業。
運転や乗降介助の専門性はハイレベル、さらに特別な医療やケアにも対応
さまざまな医療・福祉関係の職種が在籍していますが、それぞれ仕事内容は異なるのでしょうか?
特に職種によって業務内容は分けておらず、どの職種も一人で運転業務を行います。
ただし、医療依存度の高い利用者さんを移送する際は、二人で乗って運転手と看護師の組み合わせで動きます。痰の吸引や呼吸器の管理を必要とする方がいる場合、看護師が必要だからです。医療搬送といって、二人体制が必要な時は看護師が同乗するようになっています。稀ですが、精神疾患をお持ちの方を移送する際に、二人体制をとることもあります。
その際は男性のスタッフがいいと言われることもありますね。
しかし、みな医療・福祉の専門職です。傾聴を得意としていますので、必ずしも男性でないといけないわけでもありません。
24時間対応の頼れる存在
一日の勤務時間を教えてください
勤務時間は8時30分~17時30分です。一応シフト勤務もあって、利用者さんのスケジュールに応じて早番を設定しています。
受診で利用したい方ですと、朝8時に迎えに来てほしいという場合がありますので、それに合わせて動いています。
一日に何件お受けしているのでしょうか?
車一台につき、多いと午前中に3件です。1件で往復の移送をする場合もあるので、2~3件のご依頼で5~6回の移送となります。午後は午前より件数が少ないものの、2件で3~4回の移送をしています。
夜間はどのように対応していますか?
24時間対応なので夜間も移送しますが、予約は受け付けていません。突発で連絡をいただいた時に対応しています。たとえば救急車で搬送されて受診したけど、入院にならず帰宅しなければならない方です。
私がオンコールですべて対応しています。稀に待機できない日もありますが、大抵は枕元に携帯を置いて対応できるようにしてあります。
かなりハードでは?夜間の移送はどれくらいの件数があるのですか?
基本的に多くはありません。でもコロナ禍は多かったですね。一番多い時は月に5件くらいでした。救急外来に受診するのですが、コロナの患者さんが多くて満床になっていることもあり、入院できないケースが多かったです。
利用者さんも「入院できないかもしれない」と病院側から言われてはいるのですが、それでも一応受診するのです。病院まで40分くらいの距離に住んでいる方を移送することもありました。コロナ禍は本当に多かったですね。かなり需要がありました。
スタッフ間の強い連携で補い合う
昼食などの休憩はどのようにとっていますか?
その日のスケジュールに応じて、スタッフに各自でタイミングを任せています。
事務所に戻ってきて食事するか、外出先で休憩するかもスタッフにお任せです。午前中に病院へ移送した方の受診がいつ終わるかによって、事務所に戻らず近くで待機している方が都合の良い場合もあります。
ある日の例ですと、一人目を9時に送り、二人目を9時30分に送り、三人目を10時30分に送ります。11時に一度手が空きますが、そこで事務所に戻るか、それとも病院の近くで待機しているかについては、スタッフに任せているということです。このスケジュールですと、9時に移送した方が11時~11時30分頃に受診が終わるかもしれないため、外で休憩をとるといった形です。
ほかにも午前中最後の方を送ったものの、帰りの連絡がまだこなくて、でも13時から午後の一人目の方を対応しないといけない時などは、いつ休憩しようかと逆算しながら考えています。いつもは11時頃に連絡がくるのに遅れていて、12時に連絡があればギリギリ休憩とれそうだけど、12時15分だと13時に間に合わないので、12時をリミットにして動くといった形です。
スタッフ間でのスケジュール調整もあるのですか?
あります。予定は毎日組めるようで組めません。行きは組めるのですが、帰りはみなそれぞれなので、一日中業務LINEでやりとりして、必要に応じて手の空いたスタッフが対応することもあります。
予定外の検査が追加になって帰りが遅くなる方もいれば、病院が空いていたので予定より早く終わる方もいます。その状況に応じて、たとえば予定よりも早く終わる方のお迎えに急遽私が行くという形です。
さらにそういったやりとりの合間に、緊急のご依頼もあります。
午前中最後の方が受診を終え、これから迎えに行くというタイミングで「今から来てもらえればギリギリ受診に間に合うのですが、来てもらえませんか?」といったようなご依頼をいただくのです。
そこに対応してしまうと、予定で迎えに行く方に間に合わなくなってしまうかもしれないので……とかなり迷うこともあります。
スケジュール調整が大変そうですね。スタッフさんも初めはかなり苦労されましたか?
苦労していました。他のスタッフの予定を把握しきれていないこともありますから。
たとえば往復で利用する方のうち、帰りの連絡をいただいているのが何人いるか把握できていないことがあります。自分が送っていない方のことは把握できないので、密に連絡を取りあうことが大切だと思っています。
タイトなスケジュールの合間に外出支援が入ることもあるのですか?
あります。緊急と緊急の合間に、月一で焼肉屋へお出かけになる方の移送もあります。
でもそういう方は、現地で私たちが付き添わなくてもご家族が対応してくださるので大丈夫です。食べ終わったら連絡をいただくようになっています。
どうにも手がまわらない時もあるのですか?
イレギュラーで検査が追加になった時で、どうしても対応できない場合は他社さんにお願いすることもあります。できるだけ自社でやるとなれば、今は車4台ありますが、もっと増やさないといけませんね。
スタッフさんは残業もあるのですか?
基本的に何もなければ残業はありません。しかし、「今日は確実に超過勤務だ」という日はあります。16時過ぎくらいにクリニックの予約で移送する時です。このケースだと17時30分には帰れませんので、超過勤務しても良いと言ってくれるスタッフにお願いしています。
行きだけお連れして帰りにお迎えに行かないって、それではニーズにあっていないと思うので、やはり行き帰り対応すべきだと思っています。
訪問介護との組み合わせで地域のニーズに対応
地域のニーズにうまく対応できているのですね
そうですね。利用者さんの帰りがいつになるかわからない場合、移送をお断りする他社さんもあります。たとえば救急外来に17時に送った場合、帰宅できるのか入院になるのかわかるのが20時過ぎということも少なくありません。そこまで待ってやっぱり入院になりましたとなれば、二つ返事で手をあげるところは少ないと思います。介護タクシーのみの事業所ですと、遅い時間に予約がとれるところはほとんどありません。
でもうちは訪問介護も動いています。ヘルパーと介護タクシーの兼務は問題ないので、遅番という形でスタッフを配置して対応可能です。
夕方の食事介助、19時の就寝介助、20時半のオムツ交換などで訪問介護スタッフがいるのです。ただ待つのではなく、ヘルパー業務をやりながら対応できるので大きな強みだと思います。