コラム | 2024.06.03
訪問介護における入浴介助の手順とは?注意点も解説します

訪問介護では、ケアプランで作成された計画に応じて、利用者の入浴介助をすることがあります。
入浴には体を清潔にするだけでなく、リラックスしたり余暇を楽しんだりする目的があります。
一方で、入浴はプライバシーの問題や事故などに深く関わる重要なケアであるため、介助の際に一定の手順と細心の注意が必要です。
本記事では、訪問介護において入浴介助をする際の基本的な手順や注意点について、詳しく解説します。
訪問介護での入浴介助の手順
訪問介護における入浴介助の大まかな流れは以下の通りです。
主には以下の職場があります。
- 浴室環境を準備する
- 更衣介助をする
- 椅子に座る
- 湯の温度を確認する
- 洗体と洗髪をする
- 浴槽に入る
- 浴槽から出て体を拭く
では順番に見ていきましょう。
1.浴室環境の準備
入浴介助を始める前に、まず浴室の環境を安全に整えましょう。
具体的には以下の点をしっかりとチェックします。
- 浴槽に適温のお湯を充分な量で張る
- ボディソープやシャンプーなどの洗浄用品が用意されているか確認する
- 洗体ブラシや入浴用の椅子などの器具がそろっているか確認する
- 浴室内が滑りやすくなっていないか確認し、必要に応じて滑り止めマットなどを使用する
- タオルや着替えの準備も確認する
これらの準備が整った段階で、利用者に声をかけ、脱衣所まで誘導しましょう。
2.更衣介助
利用者の希望に応じて、入浴前の脱衣介助を行います。スムーズに更衣ができるよう、以下の点に注意しましょう。
主には以下の職場があります。
- 冬場は気温に注意し、部屋を温めておく
- 自力で行える部分は利用者にやっていただく
- 麻痺やけがなどの有無を確認し、健側から脱ぐ
3.椅子に座る
浴槽に入る前に、シャワーをあびるために浴室の椅子に座ってもらいます。
立ち上がりや着座に介助が必要な場合は、利用者のペースに合わせてゆっくりと行うとよいでしょう。
椅子が冷えている場合があるため、あらかじめシャワーをかけておきます。
4.湯温の確認
シャワーの温度をあらかじめ確認します。出してすぐのシャワーは急に熱くなったり冷めたりすることがあるため、温度が安定するまで介助者の手で確認しましょう。
38~40℃度前後の湯温が適温ですが、利用者の体調や希望に応じて調節することが大切です。
5.洗体と洗髪
利用者の希望に応じて、ボディーソープやシャンプーを使って全身を洗っていきます。自力で洗える部分は見守り、手が届きにくい部分を丁寧に洗うことがポイントです。
陰部、臀部、足を洗う際はかがむ姿勢になることもあり、必要に応じて立って洗うこともあります。
洗浄剤が足についたままで立つと転倒の危険性があるため、しっかり流してから立ちましょう。
6.浴槽に入る
洗体と洗髪が終わったら、利用者のペースに合わせてゆっくりと浴槽に入ってもらいます。必要に応じて立ち上がりや移動の介助をしましょう。
浴槽をまたぐ際は、座ったまま行うのか、立ってまたぐかによっても介助方法が異なってきます。
転倒に十分注意して行いましょう。
7.浴槽から出て拭く
適切な時間浸かったあとに、浴槽から上がります。
利用者の希望に応じて、全身を丁寧に拭きましょう。
その際、外傷や皮膚に変わった点がないかも確認しておきましょう。
内出血などがある部位は強くこすると表皮剥離を起こす危険性があるため注意しましょう。
入浴介助する際の注意点
入浴介助では、利用者の安全性やプライバシー保護の観点が重要です。
以下の点に気を付けましょう。
- プライバシーや羞恥心
- 転倒や溺れ
- 長湯
- シャワーの当て方
- ヒートショック
それぞれ見ていきましょう。
プライバシーや羞恥心に配慮する
入浴介助は、利用者にとって他人に体を見られる場面となります。
少なからず羞恥心を感じるため、十分な配慮が必要です。
タオルや衣類で必要に応じて隠すなどしましょう。
目を離して危険な目にあわない範囲で視線を適度に外し、凝視しないように心がけましょう。
転倒や溺れに注意する
高齢者が浴槽で転倒したり、溺れたりする事故がよく発生します。
利用者を見守り、異変を感じたらすぐに声をかけて対応できるよう心構えをしましょう。
転倒や転落は一瞬です。
命にかかわる事故にならないよう気を付けて行いましょう。
長湯にならないよう配慮する
長時間の入浴は高齢者の血圧低下など健康上好ましくない影響があります。
湯に浸かる時間は5分程度がよいでしょう。
また、入浴中も適宜声をかけながら異変がないか確認してください。
シャワーの当て方に注意する
高齢者はシャワーの水圧に敏感です。
皮膚状態が悪いと強めのシャワーは体に負担をかけます。
水圧を弱くするか、介護者の手から流すように当てるなどの配慮が必要です。
また、足元からゆっくり体に上げていくようにし、顔や心臓部に直接当てないようにしましょう。
ヒートショックに注意する
浴室と脱衣所の温度差が大きいと、出た後にヒートショックを起こす危険性があります。
特に浴室は温かく、脱衣所が寒い環境にならないよう、調節しておきましょう。
まとめ
訪問介護の現場では、利用者の方の入浴を安全かつ快適に介助することが大切な仕事です。
基本的な手順を守りながら、個々の利用者の状況に合わせた細やかなケアが求められます。
気配りや安全面での配慮を怠らず、利用者本位の介助を心がけることが専門職としての責務といえるでしょう。