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コラム | 2024.07.06

ヘルパーは医療行為NG!?行えること・行えないことを解説!

ヘルパーの業務は、利用者宅を訪問し身の回りのケアをすることです。

生活を支える重要な業務である一方で、ヘルパーは医療行為を行うことが禁止されています。

しかし、何が医療行為であるかわからず、線引きが難しいという方もいるでしょう。

利用者や家族は特に、ヘルパーが行えることと行えないことを把握できていません。

よかれと思ってやったことが、法律に反するということもあります。

そこで本記事では、ヘルパーが行ってはいけない医療行為と、行ってもよい業務についても解説します。

ヘルパーは医療行為を行えない

そもそも医療行為とは、医師法で定められている行為のことです。

医療行為を行ってよい職種は、以下に示した国家資格をもった医療従事者です。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 看護師

そのため、ヘルパーは医療行為を行ってはいけません。

医療行為の内容

では、医療行為とはどのような業務を指すのでしょうか。

以下の行為について解説していきます。

  • インシュリンの管理・注射
  • 褥瘡の処置
  • 摘便

それぞれ見ていきましょう。

インシュリンの管理・注射

インシュリンの管理や注射は行えません。

インシュリンは糖尿病患者の血糖値をコントロールするために使用される重要な薬物です。

ここでいう管理とは、血糖値の測定も該当するため、つい行ってしまわないように注意しましょう。

ただし、在宅の利用者がインスリン注射を確実に実施できるよう、声かけや見守りすることは問題ありません。

褥瘡の処置

褥瘡の処置は専門的な知識と技術が必要であり、看護師や医師でなければ行えません。

在宅利用者で褥瘡の処置を必要とする方は、訪問看護などが介入している可能性もあります。

もし、適切なサービスが介入されていない状況であれば、担当のケアマネジャーに相談することも大切です。

摘便

排便の介助はヘルパーの仕事に含まれますが、摘便(直腸から便を取り出す行為)は医療行為の一環であり、ヘルパーには禁止されています。

専門的な技術が必要であり、誤った方法で直腸壁を傷つけてしまう危険性もあるため、絶対に行ってはいけません。

ヘルパーが行えること

ヘルパーが行えることについて解説します。

  • 体温・血圧・酸素飽和度の測定
  • 血圧測定
  • 酸素飽和度の測定
  • 軽微な傷の処置
  • 医薬品を使う際の介助
  • 爪切り・口腔ケア・耳かき
  • ストーマパウチ内の便除去
  • 自己導尿の補助
  • 市販の浣腸の使用

順番に見ていきましょう。

体温・血圧・酸素飽和度の測定

ヘルパーは患者の基本的なバイタルサインの測定が可能です。

体温・血圧・酸素飽和度の測定をすることで、体調の確認や感染症の早期発見などができる可能性があります。

必要に応じて受診をすすめたり、訪問看護などの在宅サービスを連携したりできる意味でも、大切な行為と考えられます。

軽微な傷の処置

小さな傷や擦り傷、軽いやけどの処置、汚物等で汚れてしまったガーゼの交換も可能です。

清潔な状態を保ち、感染症を予防する目的で行います。

専門的な判断や技術を必要としない場合に行えます。

医薬品を使う際の介助

服薬を介助したり湿布を貼ったりすることは可能です。

また、軟膏の塗付、点眼、座薬の挿入なども行ってよいとされています。

ただし、利用者の容態が安定していることが前提です。副作用があったり、投薬量の調整が必要だったりすることで、容態の観察が必要な場合は行えません。

爪切り・口腔ケア・耳かき

感染症予防などの清潔保持の観点から、爪切りは行ってよい業務とされています。

しかし、爪とその周囲の皮膚に異常がある場合は行えません。

口腔ケアは、口腔内の清潔を保つことで細菌を減らし、誤嚥性肺炎や歯の病気を防ぐためにも重要です。

耳かきは一般的なものなら良いとされ、耳垢塞栓のように外耳道を塞いでしまっている場合は行えません。

ストーマパウチ内の便除去

パウチ内に溜まった便の除去は行えます。

ストーマとその周りの状態が安定している場合や、専門的な管理が不要な場合は、パウチの取り替えも可能です。

自己導尿の補助

自己導尿が必要な患者に対しての補助は行えます。

カテーテルの挿入は行えませんが、補助行為として体位の保持などは行ってもよいとされています。

市販の浣腸の使用

市販の浣腸の使用に関しても、ヘルパーは行えます。

ただし、挿入部の長さ・グリセリン濃度・容量等の規定があるため確認してから行う必要があります。

一定の研修を受けたヘルパーが行えること

医療行為と似た行為として、「医療的ケア」があります。

一定の研修を受けたヘルパーであれば、以下の行為が可能です。

  • 経管栄養
  • 喀痰吸引

ただし、医療・介護の連携体制が整っていること、本人・家族の同意を得ている必要があるため、注意が必要です。

これらについて見ていきましょう。

経管栄養

一定の研修を受けたヘルパーは、患者に対して経管栄養を行うことができます。

経管栄養は患者の栄養補給に関わる専門的なスキルを必要とするため、研修が必須です。

胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養が行えます。

喀痰吸引

同様に研修を受けたヘルパーは、喀痰吸引を行うことができます。

喀痰吸引は、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部に行えます。

まとめ

ヘルパーの役割は多岐にわたりますが、医療行為に関しては明確な制約があります。

患者の健康に直接関わる処置や管理は、看護師や医師などの専門職が担当します。

しかし、ヘルパーはその他の生活全般のサポートにおいて欠かせない存在であり、チームとしての連携が重要です。

患者のケアにおいて、ヘルパーが適切な範囲で働くことで、患者の生活の質を向上させることが期待されます。