コラム | 2024.06.25
ヘルパーが掃除できる範囲はどこまで?支援のコツや注意点も解説!
介護保険サービスの一環として行われるヘルパーによる掃除業務。
一般の掃除業者とは異なり、ヘルパーが掃除できる範囲は限定されています。
利用者の居住空間を中心に、生活動線上の場所のみを対象とするのが原則です。
ヘルパーとして適切にサービスを提供するためには、業務範囲を理解する必要があります。
本記事では、ヘルパーが掃除できる具体的な範囲と、掃除時のコツや注意点を詳しく解説します。
これからヘルパーとして働こうと考えている介護職員は、ぜひ参考にしてください。
ヘルパーが掃除できる範囲
ヘルパーが利用者宅でおこなう掃除の範囲は限定されています。
一般の掃除業者が行う掃除とは異なり、介護サービスの一環として利用者の生活動線上に関わる場所を行います。
掃除できる場所は、以下のとおりです。
- 居住空間
- トイレ
- 浴室・洗面所
- 台所
利用者の居住空間
居住空間には、リビングや和室、寝室などが該当します。
普段使用する場所だからこそ、衛生的に過ごせるよう特に念入りに掃除しましょう。
生活動線になるため、障害物の有無にも注意が必要です。
動作の邪魔にならないように片づけておきましょう。
トイレ
衛生的に排泄できるよう、トイレ掃除をする場合があります。
便器や床、ドアノブなどが対象です。
トイレ掃除では、きれいな部分からはじめていくことがポイントです。
まずはドアノブから掃除をはじめ、床、便器と拭いていくようにしましょう。
浴室・洗面所
これらも簡単な掃除に限定されます。
たとえば、浴槽や洗面台を軽く掃除し、衛生的に使用できる程度の範囲で行います。
浴室の頑固なカビ取りやすべて丁寧に拭き上げるようなことは範囲を超えているため、おこなってはいけません。
台所
台所の掃除では、シンクや換気扇、レンジ周りなどの場所は、日常的な範囲を超える大がかりな清掃とされてしまうため、原則行いません。
あくまで掃除機をかけたりテーブルの拭き掃除をすることにとどめておきましょう。
ヘルパーの掃除のコツや注意点
適切な掃除をおこなうには、細かいコツや注意点を押さえる必要があります。
特に利用者への配慮と安全面での対策が欠かせません。
- 私物に触れる時は確認をとる
- 利用者宅のルールを確認する
- 傷をつけないようにする
- 掃除機のコードに位置に注意する
- 掃除中も利用者の見守りをする
これらの点に注意して対応しましょう。
私物に触れる時は確認をとる
ヘルパーは掃除中、タオルや衣類、小物などの私物に触れる可能性があります。
これらは利用者の大切な私物なので、勝手に動かしたり片付けたりしないよう気をつける必要があります。
まず、私物を動かす前に、利用者に確認を取ることが大前提です。「これは、動かしてもいいでしょうか?」と尋ねるのがマナーです。
また、動かした後は必ず元の位置に戻すことも重要なポイントです。私物の置き場所を無造作に変えてしまうと、利用者に不便を強いることになります。
このように、日頃から私物へ細心の注意を払い、利用者に気持ち良く過ごしてもらえるよう心がけましょう。
利用者宅のルールを確認する
ヘルパーは利用者宅におじゃまして掃除する立場なので、宅内のルールをしっかり確認しておく必要があります。
たとえば、掃除用具の置き場所や使い分けのルール、拭き掃除と掃除機どちらが先か、といった細かいルールは利用者宅によって異なります。
トラブル防止のため、コミュニケーションを十分にとりルールを把握しておきましょう。
傷をつけないようにする
掃除に使う道具によっては、家具や壁、床などに傷をつけてしまう可能性があります。特に床との擦れに注意が必要です。
例えば掃除機を使う際に、キャスターのついた家具の脚部と擦れて床に傷をつけてしまうことがあります。また、掃除機のノズル自体が床材を傷つけるリスクもあります。
そのため、掃除機を動かす際には、床との摩擦に細心の注意を払うようにしましょう。壁際や家具の近くなどは、掃除機を持ち上げたり、やや離して作業することで傷つきを防げます。
このように、細かい作業工程の中で、利用者の大切な家財に傷をつけないよう気をつけることが求められます。
掃除機のコードの位置に注意する
掃除作業で欠かせない掃除機のコードですが、これが地面を這うと、危険が伴います。
コードを踏んだり引っかけたりすると、コードが抜けたり機械が倒れたりする可能性があり、けがや故障の原因になりかねません。
利用者が通る場所にコードが這っていると、つまずきの危険もあります。
そのため、掃除中はこまめにコードの位置を確認し、危険な場所に這わせないよう気をつける必要があります。コードを立ち上がったスペースで束ねたり、壁に沿わせて運ぶなどの工夫が求められます。
コードへの注意を怠ると、大きな事故につながる恐れがあります。安全作業を心がけましょう。
掃除中も利用者の見守りをする
掃除に集中しすぎて、利用者の状態を見逃してしまっては本末転倒です。掃除中も、こまめに利用者の様子を確認することが大切です。
高齢の利用者は、動作がぎこちなかったり、認知症の症状があったりと、介助が必要なケースがほとんどです。
掃除に夢中になって気づかぬ間に転倒や行動の乱れを見逃してしまっては、大きなリスクにつながります。
そのため、声をかけて状態を確認する、目視で様子を伺うなど、掃除中も利用者の見守りは欠かせません。異変に気づいたら素早く対応し、安全性を最優先する必要があります。
このように、利用者への気くばりを忘れずに、安全と尊厳を最優先する心構えが不可欠です。
まとめ
ヘルパーが掃除できる範囲は、利用者の生活動線上にある居住スペース、トイレ、浴室、洗面所、台所などに限られ、一般の家事支援サービスとは異なります。
その一方で、利用者への配慮と安全性の確保が重要なポイントとなり、私物への気くばり、ルールの確認、作業時の細かな注意が求められます。
信頼関係を構築しながら、適切な範囲と方法で掃除をおこなうことが、介護サービスを円滑に活用する上で欠かせません。
お互いのコミュニケーションを大切に、掃除を介護の一環として位置づけることが何より重要です。